【ネタバレ有】最終兵器彼女って漫画を紹介・考察してみる【SF】

最終兵器彼女

「私の事愛してる?」「ああ、愛してるよ」「そう…私が、最終兵器でも?」

 

こんにちは、ケチャップです。

最終兵器って言われて想像するものには、どんなものがあるだろうか。核兵器、巨人兵、ままんの怒鳴り声。

色々あると思うけど、今回は彼女が最終兵器になっちゃった場合のお話。

 

 

最終兵器彼女

 2000年の1月から2001年の10月まで「ビッグコミックスピリッツ」で連載。作者は高橋しん。単行本全7巻の他、外伝1巻、TVアニメ、ゲーム、OVAが作成されている。

 

あらすじ

北海道で暮らす男子高校生のシュウジには、最近彼女ができた。彼女の名前はちせ。ちせはおっちょこちょいで、少し抜けていて、小さくて可愛らしい普通の女子高生。まだなんだか気恥ずかしくて、2人は交換日記をしながら探り探り愛を深めていく。

何の変哲もないある日の放課後、街が空襲に襲われた。必死に逃げるシュウジの目に飛び込んできたのは、鉄の翼を背中から生やし、腕が機関銃の様に変形したちせの姿だった。

 

戦争

ちせが最終兵器になっている事からわかるように、この世界では戦争が行われている。戦争の理由や敵は明確には描かれていないので、ここからは私の推測。 

この星は人類の、ほんのわずかなミステイクをきっかけに、まったく「ある日」から急速に環境を崩していったのだという。

出典:『最終兵器彼女』7巻

人類が犯したミステイクとはなんなのか、それはもしかしたら一つの木を切ったことかもしれないし、誰かが走らせた車の排気ガスかもしれない。ただそれは「この星」を壊すというには、あまりに小さな出来事だったんだろう。ただそんなことで限界が来るほど、「この星」は消耗していた。それは人類が長い時間の中で積み上げてきた事の、結果である。

上記のことがあり、環境が崩れることで居場所を失っていく人々や国が、まだ安全な場所を求め戦争が起きたと私は推測する。戦争によって環境の崩壊は加速していき、生物が生存できる環境はどんどん減っていく。1巻ではちせが他の国に派遣されるシーンがある事から、序盤の段階では協力し合う国があったと考えられる。しかし最終兵器の威力はすさまじく、敵を殲滅する際その土地ごと破壊していく。ちせが守るシュウジの住む町は空襲や地震がありながらも、平和な描写が多い。その場所に軍が撤収してきたときには恐らく、世界中、そして日本のほとんどがおおよそ生物が生存できないほど崩壊していたのではないかと考えられる。

 

最終兵器になった理由

スピンオフOVAで「最終兵器に適合する体を持つものがたまたまそこにいた」と言われている。つまり誰でもいいわけではないが、ちせでないといけないわけでもなかった。OVAでは他の最終兵器も出てくるが、ちせと比べ兵器としての成長の限界が低い。それに比べ本人の自意識を奪う程成長しすぎるちせ、もしかするともっとうまく適応できる誰かがいたのかもしれない。しかし国にはそれを探すだけの時間がなく、本人の承諾もないままちせを最終兵器にしてしまった。

OVAには原作にないちせの物語があるので是非見ていただきたいです。

 

恋愛

付き合いたての2人に立ちはだかったのは、最終兵器というあまりにも大きな壁。

シュウジはそんな彼女を時と共に形を変えながら、何度も抱きしめた。呆然と抱きしめた、恐れながら抱きしめた、泣きながら抱きしめた、体の痛みに耐えながら抱きしめた。怖くても苦しくても行かないでほしい、シュウジは弱い男だ。最終兵器の事を受け入れることも、理解することも出来ない。それでも好きだからという気持ちだけで、ちせを傷つけながら抱きしめた。傲慢で、浅はかで、幼稚な、実に高校生らしい男の子だった。

ちせにとっての恋愛はシュウジにとってのそれよりも、とても重たいものだった。もし彼女に男性経験があり、既に恋愛のくだらない部分や醜い部分を知っているスレたJKだったら全く違っただろう。しかし彼女やその周りも含め、少女漫画のような恋愛しかしらない。それはとても綺麗で輝いて見える、人生を大きく変えるような「なにか」だったんだろう。時が立つにつれ、ちせは恋愛の綺麗ではない部分を知っていく。それでも最終兵器になった彼女に残された、「女の子」の部分には恋愛しか希望がなかったのではないだろうか。

 

最終兵器

奥の手という意味の最終兵器かもしれないし、その文字通りこの世で最後に存在する兵器という意味なのかもしれない。 その実態については謎が多い。作中では「彼女の細胞は人間のそれとほぼ同じ」といった事が語られている。兵器は成長し、その度ちせの中の人間的な部分が減っていく。

もとは日本を守るために作られた最終兵器であるが、途中から兵器は自分の意志を持って戦っている様に感じられる。それは人類を救うためではなくて、むしろ人類そのものや、それらが積み重ねた歴史まで消していくように感じられた。

時折ちせが発する最終兵器としての言葉には、無機質でありながらも何処か優しさがある。しかしそれはやはり兵器であって、人間じゃない。人間を憎んではいないが、人間寄りでもない中立な立場なのでは無いだろうか。最終兵器の論理演算的な思考が、何を導き出したのかは解らない。ただ私はその答えが「この星に不必要なのは人類」なんて事があるんじゃないかと考えてしまう。

 

感想

記事書くにあたって読み直した。めちゃくちゃ泣いた、うちの猫様が二度見するくらい泣いた。でもやっぱ昔読んだときのほうが、面白く読めた気がする。今読むと最後の終わり方に違和感を感じるし、なんだか終わるに終わりきれない。自分の性格が悪いんだろうが、もっとこう絶望的な終わり方をしてくれないと、今までに消えていった人達が報われないような気持ちになる。そういう所では、アニメ版の終わり方のほうが考え方をこちらに任せてくれるので好き。めちゃくちゃ泣いたくせに何言っちゃってんの?って話なんだけども。全体を通して言うと、やっぱり原作の漫画のほうが面白い。アニメだと伝えきれない部分があって、そこ省いちゃったらなんか違うよっとなる部分がいくつかあるから。

考察というより、自分の妄想書きなぐったみたいになったかも。こんな風に考える人も居るんだな、位に思って下さい。

好きな人と嫌いな人が分かれる漫画だと思う。私はおすすめします。

 

最後にシュウジがちせに「いつか」来るかもしれない、未来について話す場面の一部をお届けします。

 

あの頃あんなに大変だって思ってたことが、なにひとつなんでもなかったって…だって今、こーしてふたりでいるもんなって言って…

出展:『最終兵器彼女』1巻

 

ありがとうございました。